吹雪のなかでじっと

「ペンちゃん・・・」

雪だるまの国は

毎日がずっと楽しくて穏やかなところばかりじゃないんだよ。

時には暗い吹雪のなかを何日もじっと　じっと

ひとりでいることだって　あるんだよ・・・

ボクは雪だるまだから

それでも大丈夫なんだよ。

それも雪だるまのくらしだから・・・









「・・・・・」

ペンちゃんは行けないよ

「・・・・・ペンちゃん・・・・」


ペンちゃんは

雪だるまの国には

来ちゃいけないよ・・・







「・・・・・」


え！？

雪だるまのお茶会でも

「ペンちゃん、びっくりした？ふふふ！」

このキャンディーはまた時々取り換えるときはいただくね〜〜。

時々雪だるま仲間で集まるお茶の会にももっていくね！

もちろんマフラーもつけてね！

そこでいっぱい

ペンちゃんのお庭でかわいがってもらったお話をするからね！

雪だるまのお茶の会では〜〜それぞれのお里の自慢話もお楽しみなんだよ〜〜。







「ああ！ペンちゃんのお話もしてくれるんやね！」

ペンちゃんもすんごいお寒いところにおったことあるんよ！

ペンちゃんも〜

雪だるまの国へ

ちらっといってみようかな〜〜♪ふふ♬

たのしそうよね〜〜！！

山盛りびっくり

「よいしょっと・・・ちょん♪」








「ばあ！ペンちゃん！」


新しい赤いお鼻もつけて〜〜

再びペンちゃんのかわいい雪だるまさんのお顔にもどりました〜〜！！








「きゃ〜〜〜♪」

雪だるまさん！

もう！びっくりした〜〜！

びっくりしたやないの〜〜！

きゃ〜〜！

ふふ♪　ふふ♪　よかった〜〜。よかったよ〜〜！！

雪だるまさんはペンちゃんを山盛りびっくりさせるんやから〜〜♪

お早目に新しいお鼻を

「さて。ペンちゃん、新しいお鼻をいただきます♪」


「え・・あ。はいはい・・・」

まさかの「ぱくっ」！？

「替えちゃうなら・・・・」



その前に


・・・・パクっ。








ふが！！


「ひょ〜〜〜っ！！」








「ん〜〜〜。おいしい・・・・」


んぐんぐ・・・・


ごくっ。

取り換える前に

「ね。取り換えとこうよ〜〜。はい。新しいのをどうぞ・・・」


「うん・・・そうさせてもらうね・・・」


・・・あ。　でも・・・

ペンちゃん。

その前に　ちょっと待って！

お鼻のほうも心配で

「あ。それとね・・・あんまりお荷物がいっぱいになったらイカンと思ってんけど・・・」

お鼻の赤いキャンディーね、

旅の途中でもしなくしたら〜〜って　心配やったもんやから〜〜

このキャンディー、瓶ごと持っていってもらおうかなと思ってね・・・

次にペンちゃんのお庭に戻ってくるときには〜〜

またいっぱいご用意しとくし、ね〜〜。


「ペンちゃん色々ありがとう！予備のお鼻までこんなにたくさん・・・」


「うん。うん。たくさんあるから〜〜今夜のうちに一回、取り換えとく？」

箱は開けずに

「あ。そうそう。あのね。激しく寒すぎる場所に行くんなら〜〜」

ちょうどこのプレゼント、役に立つんよ〜〜。

実はこれ、お母ちゃんの手作りの黄色のマフラーやね〜ん。

ペンちゃんももうすぐお揃えのん、作ってもらうんよね〜〜。

でも今はお箱は開けずにもう、このまま持って行ったらええよ。

で、激烈にお寒い場所に行ったときに開けてつかってね！


「え！！そうだったの〜〜！すごくうれしいよ！ペンちゃん！」

「ボクのお母ちゃんに言うたら〜〜もっといっぱい暖かアイテム、ご用意してくれたのに〜〜。」

「ありがとう！でも〜〜十分だよ〜〜。ペンちゃんとお揃えのが一番うれしいよ。」

「ふふ！ペンちゃんもうれしいよ〜。ふふ！」

厳しすぎるところにも

そしてたまにはごく少人数の雪だるま仲間と

ちょびっと冒険して寒すぎる場所にも行ってしまうことも・・・

吹雪の中で思わず震え上がる雪だるまもたまにはいるんだけど・・・

ボクは全く平気さ！

雪だるまのくらしはこういう厳しさもまた楽しみなのさ〜〜。






「んまあ！！」

いくら雪だるまさんでも寒すぎる場所では〜〜

やっぱり「きゅ〜〜」ってなる子がいてるんやね！？

きゃ！

知らんかった〜〜。ふふ！ふふ！

氷の山でピクニックを

「雪だるまの国のメンバーはね・・・」

時々はこんな感じで

人間が誰もこない地球の果ての雪と氷できらきらの場所で

いっぱい集まってピクニックをしたりもするんだよ。






「ステキっ！」

雪だるまさんもこれからはこういうピクニックのメンバーに

いれてもらうんやね！

いっぱい仲間がいてるんやね！

また それぞれがお里に

「雪だるまの国は〜〜

いつもはっきりと場所が決まってるわけではなくて・・・」

雪だるまのみんなでちょうどその時のぴったりの場所を

旅しながらさがすんだよ〜〜。

雪だるまのボクたちが似合うステキな場所をね〜〜。


この国のもっと北のほうにも立ち寄ることもあるかもしれないし・・・

ここのお庭から　はるか　はるか遠い地球の反対側に行くこともあると思うよ〜。


「んまあ・・・そんなに遠くにまで・・・」


「うん・・・世界中からボクみたいに大切にしてもらったかわいい雪だるまが集まってね。

そして自分の出身のお里がちょうどいい季節になれば・・・それぞれがまた里帰りしていったり・・・」


「雪だるまさんのお里はペンちゃんのお庭よね！」


「うん・・・もちろんだよ。ペンちゃん。」

いったいどこに？？

「雪だるまの国は・・・」

ここよりもずっとお寒いとこでしょ〜？

遠いところなんやろか？

いったいどのへんに・・・






「・・・うん・・・」

そうだねえ・・・

このあたりではボクだけが

このあたりで

本当の「雪だるまさん」になれたのは

ボクだけだよ！

ペンちゃんが本当に本当にボクを心をこめてつくってくれたから・・・

ボクは立派な雪だるまの一員として

かわいい姿のまま　雪だるまの国へ帰れるんだよ。

そして

また　必ず　この姿で

ペンちゃんのもとへ　帰ってこれるよ。








「そう・・・」

そうやったんやね・・・

よかった・・・

よかった・・・

違う種類やった！！？

「実は〜〜あのぐた〜〜ってなっちゃってる子たちは〜〜心をこめてかわいく作ってもらっていなかった雪のかたまり・・・」

あの子たちは　「雪だるま」ではなくて　「雪のだるま」っていう子たちなんだよ〜〜。

だから〜〜「雪だるまの国」へ行く子たちとはちがうんだよ〜〜。


「ひっ！『雪のだるま』！！ち、違う種類の子たちやったんやね！！？」

し・・・知らんかった！！


「雪だるまの世界は深いんだよ〜〜ペンちゃん・・・」

ぐた〜〜〜ってなってる子たち

「あのね・・・ペンちゃん。時々・・・暖かくなるころに・・・

そのへんでぐた〜〜〜ってなってる雪のころんころんのかたまりみたいな子、いてるでしょ？」


「・・・ぴぴ・・・い・・・いとるね・・・」


「あの子たちは〜〜雪だるまの国にはいかないんだよ。」


「そ・・・そうなん？」

そういえば・・・なんか・・・ぐた〜〜ってなってる子は・・・

ちょびっと不細工な子たちやったような・・・

ぴぴぴぴ・・・・

すべての雪だるまさんが！？

「ど・・・どこかに行ってしまうんやないかって・・・思ってたんやけど・・・」

やっぱり！

そんな国があったんやね！！

もしかして　今夜　このあたりの雪だるまさんは〜

全員そこへ帰るんやね！？？








「・・・・う〜〜ん。ペンちゃん・・・」

それが〜〜

ちょっと違ってね・・・

あのね・・・

どこかに行くと思って

「ペンちゃん・・・ボクがどっかに行ってしまうとおもってるんでしょ・・・」

あの・・・実は・・・

実は・・・さみしいけど・・・ボクは今夜　ペンちゃんからもらったプレゼントをもって

『雪だるまの国』へ一度帰ります・・・



「ええ！！？？　雪だるまの国！！？？」

なんておしゃべりしていたのか

「そうか・・・そうやったんやね！」


うっ・・うう・・

お話、できるようになってくれたんやね。

ペンちゃんはわかっとったよ！

雪だるまさんが黙っとっても　なんておしゃべりしてるのか

ぜんぶ　ぜんぶ　ちゃんとわかっとったよ！！



・・・・・・雪だるまさんのお手手はとっても大きくてふんわりとしていたけど

なぜだか　ペンちゃんにはちっとも冷たく感じなかったんだって・・・・・

どうしてだまっていたの

「うっ・・・うう・・なんで・・・なんで　今まで黙っとったんよ〜〜。」

うう〜〜〜・・・


「・・・びっくりさせてごめんね。ペンちゃん・・・・・」

最初はペンちゃんと同じようにはお話できなかったんだけど・・・

毎日　毎日　ペンちゃんがいっぱいボクに話しかけてくれたから〜〜

やっと　お話の仕方を　覚えることができたんだよ〜

でも・・・ボクが心の中でお話してたことばは

ペンちゃんは

最初から全部わかってくれてたねえ・・・